不眠症とうつ病

 うつ病の90パーセント以上が何らかの睡眠の症状を伴います。そのなかで最も多いのは入眠困難です。入眠困難はうつ病にともなう睡眠障害の80パーセント以上に相当します。

 逆に入眠障害をはじめとする睡眠の困難がうつ病を引き起こしやすいという統計結果があります。睡眠障害があるとうつ病になる可能性が5~15パーセント高まるというのです。しかしこの数字は高いのか低いのかよくわかりません。あまり高い数字でもないように思われるのです。

 大方の人は睡眠障害になってもうつ病にはなりませんが、リスクは少し増えます。ただ、人によっては睡眠障害に陥ると容易にうつ状態を引き起こしやすい方がいます。そういった場合にはうつ状態にならないよう積極的に睡眠障害の治療を要します。また睡眠障害がうつ病の予兆であることもあります。

 うつ病と不眠傾向はサイクルのようになって悪化することがあります。つまり、不眠傾向→うつ病→不眠傾向の悪化→うつ病の悪化、という道筋をたどります。

 軽度のうつ病でしたら、何はともあれ睡眠障害を治療するだけで、うつ病も自然に改善することがあります。

 心配症の方は、睡眠障害になると、体の不調やうつ病が発生するのではないかと過度に心配され、その不安からさらに睡眠障害が悪化することもあります。不安に振り回されずないようにしつつ、必要なら治療的手段も話し合うことが良いと思います。