パニック障害の典型的な症例をあげてみます。もちろん特定の人のものではなく、一般化したものです。

パニック障害の典型的な症例

 35歳の女性。出勤途中の電車の中で閉塞感が強く、突然気分が悪くなり、胸がドキドキして呼吸が速くめまいが生じた。症状は急激に悪化して、死ぬのではないかという恐怖感が生じた。途中駅で降りて、駅員に助けを求め、救急車を呼んでもらった。病院に着く頃には大分おさまっていた。諸検査には異常なかった。その後、電車以外の場面でも、自宅で休んでいるときでも発作を繰り返すようになった。また、発作になるのではないかと予期不安が強い。

 心療内科に受診して、発作止めの抗不安薬と、治療薬のSSRIを内服して次第に発作がコントロールされるようになった。仕事のストレスと家庭でのストレスが重なっていたのが背景にあったようである。仕事のストレスや業務の有り様を見直し、上司とのコミュニケーションを円滑にし、家庭でも1つづつ問題に対応した。約10ヶ月後に内服薬SSRIを中止して、すこし発作の前兆があるときには、たまに頓服の発作止めを使用している。