「強迫」とは

 不合理でばかばかしいと思う事柄を、考えてしまいます。これは苦痛で不快なものです。そして、これは自分自身の思考だとして自覚があります。これを「強迫観念」といいます。

 この強迫観念に基づいて同じことを何度も繰り返して行うのが「強迫行為」といいます。

強迫症状で多いもの。

・ 洗浄強迫:不潔とか病原体が心配で、繰り返し手洗いをするものです手洗いをしないでおくと不安でならず、そのために度をこして手洗いをしてしまうため非常に手洗いがひどくなることもあります。それにまたこの行為のために日常生活のいろいろな面で支障を来すようにもなります。

・確認強迫: 戸締まり、ガス栓、スイッチなどを頻回に確認をします。また計算ミスの確認を何度もしたりします。

・その他、縁起がわるいからといって、日常生活の多くの場面で4とか9とか13という数字を避けるために多くの努力をする場合もあります。

典型的な症例

 もともときれい好きで、几帳面でした。あるとき、電車のつり革や人が触ったものが、不潔ではないか、細菌がついているのではないかと気がかりが強くなり始め、手を頻繁に洗うようになりました。不潔恐怖の範囲は拡がってきて、気楽に物には触れることができなくなり、より一層手洗いも徹底するようになりました。毎日に数限りなく、時間をかけて手を洗うようになって、手荒れもひどく悪化しました。止めると不安が強いため、自分では止めることはできませんでした。

治療

・ 何らかのストレスがきっかけになっていることがありますので、それを検討します。

・ 認知の仕方に偏りが生じているところがあり、特にネガティブ発想とポジティブ発想のバランスが悪くなっていることがありますので、そのような場合には、認知療法的な方法によって、認知の修正をすることが有効な場合があります。

・ ほんの少し苦手なことから徐々にならして、段階的に、ゆっくりと、苦手を克服する訓練もあります。(段階的暴露療法などとも呼ばれます)

・ かねてより本格的な精神療法として、「精神分析療法」も行われてきました。やはり精神分析的なカウンセリングも重要であると考えられます。

・ 内服薬としては、SSRIという選択肢もあります。SSRIは不安障害全般に効果が期待できますが、強迫性障害にも高い効果が近年見いだされております。その他、日本で開発された、エビリファイという内服薬も効果が高いことが最近わかってきています。