あがり症・社会不安障害の回避傾向:最大のデメリット

 あがり症・社会不安障害には「予期不安」を伴います。予期不安とは、事前に不安状態になることです。これはたいへん辛く苦しいものです。この予期不安の苦しみために、人前で話すのを断りたい、キャンセルしたい、何とか避けたくなります。また昇進をすると人前で話す機会が増えるので、昇進を断りたいと考えることもあります。職業を選択する際には、人前で話す職種を除外しようとすることもあります。大学や専門学校に進学するときにも、やはり同様です。このように人生の重要な選択をするさいに、予期不安は大きな影響を与えるがちです。そのため、進路の選択の幅を狭めていることになります。人生全体に影響を与えるこのような回避的な傾向が、あがり症・社会不安障害の最大のデメリットです。

 また、人前で話すことを日常的にできるだけ避けようとするために、長年にわたって、小さなデメリットが積み重なって、大きなデメリットになる場合があります。

 このように回避的傾向が強い場合には、人前に出るのもおっくうで、軽いうつ状態も伴っていることもあり、人生全体に影を落としてしまうこともありますから、注意を要します。放置せずに治療的な対応をしたほうが良いです。