自律神経の役割

 自律神経は、種々の状況に適応した身体の状態をつくります。種々の状況とは、大きく分ければ、ゆったりしている状況、活動している状況、非常に活動している時、危機的状況の時などです。それぞれの状況に対処するためには、身体の状態は変化しなければなりません。非常に活動しなければいけない状況だのに、ゆったりした身体の状態ではうまく活動できませんし、逆にゆったり休むべき時に、盛んに活動しているような身体の状態ではいけません。状況にふさわしい身体の状態になっていることが必要です。この身体の状態を作り出すにの自律神経が大きな役割を果たしています。

 

 これがうまく機能しなくなると、いわゆる「自律神経失調症」という状態になります。


いろいろな活動レベルに対応する自律神経

 いろいろな活動レベルを次のように幾つかのレベルとして並べてみることもできます。上のレベルに行くに従って、落ち着いた状態がふさわしいですし、下のレベルに行くにしたがって活動しなければならない状態です。それを調整するのが自律神経の役割です。

 

0.すべての活動がほぼ停止している。

1.休憩。消化器の機能も高まる。

2.おちついて作業できる。

3.活発な作業。食事を食べる。

4.興奮状態

5.危機的状況に対する対処行動。

 


自律神経とパニック

  上の5つに、更に例外的なレベルをもうひとつ付け加えないといけません。つまり破局的なくらいの状況に直面した時です。こういったときにあまりに恐怖や驚愕によるショックが大きすぎると、体が動かず、身動きも取れず、心身の活動が停止したような状態になることが少なくありません。それを「すくみ反応」と呼びます。これが生じると危機を回避できなくなります。あるいは、逆に行動が暴発して、無秩序に無目的に動いてしまうこともあります。災害時にはこれが生じて更に被害が拡大することもあります。ストレスが破局的すぎると、すくみ反応が生じるにしろ、無闇に行動するにしろ、心身の状態が対処すできる限界を超えてしまって、何も対応できないような状態になっています。これらを一般に「パニック」の状態と呼びます。

 

 いわゆるパニック障害のパニック発作ときには、急激に恐怖や驚愕が発生してしまって、過呼吸、激しい動悸、発汗過多などがしょうじます。その際には一般に強い「すくみ反応」が生じて、何もできなくなり、動けなくなります。