通常は、カウンセリングは基本的な事柄をもういちど捉え直してみたいと前向きに希望される方に適しています。まず予備的に5回分を実施して、それから継続するかどうかを話し合って決めることもあります。

A:カウンセリングとは何をするのですか?

Q: 自らについて語ることです。

 カウンセリングは何をするのか、というご質問を受けることもよくあります。カウンセリングとは自分について語ることです。ご自身にとっての課題がどのようなものなのかなど、自らについて語るということは、実は人生のなかでは、ほとんどなされることがありません。こころのなかで一人で考えさまようことはあっても、それは一時的なことぐらいであったり、長く考えていたとしても、そのほとんどが自分への捕らわれに充ち満ちた隠された自己愛的な内容であることはほぼ間違いないと言っても過言ではありません。

 よく自分のことは自分ではわからないといいますが、これはやはり正しいことだと思います。

 従って、カウンセリングをやるといっても、それを開始するにあたってのモチベーションなり認識は非常に低いレベルから始まるのが普通です。最初から自らについて上手に考えることができ、語ることができる人は、稀ですし、特殊な人たちです。

 通常は、多くの人は、自分について考えるとか語るということについてさえほとんど知りません。学校で教える科目でもありません。ほとんどの方が、自らについて語るこという意味でのカウンセリングの意義がわからないのが一般的です。

カウンセリングで、答えが欲しいことについて。

 カウンセリングで何をするのか、という問いと関連していることですが、カウンセリングでいったい何が得られるのか、それはカウンセリングでどんな答えを先生が教えてくれるのか、自分の持っている問題を相手に投げかけて、どんな答えが帰ってくるのか、ということです。ですから、多くの人は少々のことだけを話して、次にどんな返答が帰ってくるのか相手を試すようにして、反応・応答を待つということをするのです。もうその時点で、自らについて話すという行為を、放棄していて、もっといえば崩壊しています。すべてはこちら側にサジを投げて、丸投げして、自分は待っているのです。仮に、なにも答えてくれなければ、何も意味がなかったと判断するのです。

 こういった現象は、やはり精神的にまだ未熟で、自己中心的な性格にありがちです。このままでは、自分の内面に目を向けることもあまりなさそうだ、という印象を持ちます。

 最初は、多かれ少なかれ、皆そうなってしまいがちですが、回を重ねていくうちに、自分について思考を少しずつ深めていくことが可能になります。