うつ状態・うつ病について


うつ病の状態

 うつ病は、倦怠感、食欲がない、朝早く目が覚める、胃腸がすぐれない、肩こり頭痛がひどいなどの身体症状から始まることも多く、やがて気分の落ち込み、興味関心の低下が続くようになります。仕事の能率もひどく低下したり、家事や人付き合いや身の回りのことをするのもおっくうになります。

 また、時間や日によって波が大きいうつ病のタイプもあり、不調の時には、急に気分が落ちたり、イライラしたり、発作的に不安が強くなったり、訳もなく悲しくて涙が出てきたりします。このような情緒不安定が波のように押し寄せてきます。

 うつ病になると大抵の方は、自分の努力不足を責め、怠けを戒め、最後の力を振り絞ってでも頑張ろうとします。焦りも大変に強くなります。こうして悪循環が生じます。しかし、うつ病は脳内の神経伝達物質のバランスがうまくいかなくなった状態だと考えられます。

うつ病のきっかけ

 環境の大きな変化や過度のストレスがきっかけとなることが多いです。たとえば、転勤、昇進、降格、失業、過重労働、パワハラ、近親者との別離、病気、経済問題、結婚、出産、引っ越しなど。一般には大きなストレスでないと思われていることもうつ病のきっかけになることもあります。

当院でのうつ病の治療

1.必要な休憩・休息・休養をお取りすることをお勧めします。心身の状態に強い違和感を感じるときには無理をせずに休むことは自然回復を促進する上でも大切です。

2.必要に応じて、抗うつ薬という薬を用いる場合があります。抗うつ薬は、神経伝達物質の機能不全を元に戻すよう調整します。さらに抗うつ薬は、神経細胞の損傷を修復して神経の枝葉が充実するよう促す効果もあります。適正なお薬の処方を目指すことが大切です。

 休息と内服薬は、両輪となってよりよく回復に向かいやすくなります。

治療期間

 うつ病の治療は焦らないことが肝要です。

 回復途上には必ず焦りが生じるものですが、多くの場合で最初の症状がはじまる前にも焦りが関係しています。焦って早すぎる治療の中断したり、職場復帰を早めたり、復帰しても仕事を増やしすぎたりしていると、再発しやすくなります。回復にはある程度期間が必要なものです。もちろん、個々人に応じて検討しておりますので、気になることがあれば医師に相談して下さい。治療期間の一般的な目安とされているのが、症状がなくなった頃から数えて、3~6ヶ月は「維持療法」といって、うつ病が再発しないよう、予防のために治療を継続することが大切です。

 集中力低下や意欲低下は回復に長い期間がかかりますので、我慢しすぎず、早めの治療が大切になります。

 症状が反復する場合には、より長い予防的な治療を検討した方が良いです。継続内服が必要でしたら、内服薬を特別視せず、糖尿病や高血圧などの内科薬を長く内服することと大きく変わらないと考えてもいいのではないでしょうか。