心因、疲労、焦り。そしてうつ病の発症。

 心因、疲労に加えて焦りが伴うと、うつ病になりやすいので、焦りやすい方は、いつもの焦りのパターンを知って早めに対処することが大切です。


<心因、疲労>

 心因も疲労も、はっきりしたうつ病という疾患ではありません。医学的な管理や助言が必要な場合もありますが、多くは本格的な医学的な治療の対象ではありません。疲労であれば休息すれば改善することも期待できます。心因であれば、原因となる心の葛藤がよくなれば改善します。

 しかし心因なり疲労がひじょうに長引く場合があります。この場合にはうつ病とのグレーゾーンというのもあります。つまり、単なる心因や疲労よりうつ病の側に一歩進んでいる場合です。これをうつ病になりかけの状態、あるいはうつ病の発症の前の段階だとみなすこともあります。この場合は往々にして焦りが関与しています。うつ病の発症は一般に心因や疲労にくわえて焦りによって引き起こされがちです。

<焦りとうつ病>

 几帳面でまじめで頑張るタイプの方は、この状態を乗り切るために、持ち前のこの精神を発揮させすぎて焦りに焦りを重ねる場合があります。頑張りすぎて、成果が上がらないと焦り、疲労も強くなり、自己評価が下がり、さらに焦ってもっと頑張ろうとする、という悪循環です。焦りのさなかになると、視野も狭くなりがちで、有効な手立てを講じることができないままに、まっしぐらに突き進もうとしがちです。このような状態ではうつ病になるリスクも高まります。

 焦りが強くなると自ら気づいて修正することが困難なので、周囲から「焦らないように」などと助言してもらうことも大切です。また一緒に今の状況を見つめ直すのもよいでしょう。逆に周囲がもっと頑張れ、頑張りが足りない、などとさらに焚き付けることのないようにしなければなりません。さらに追い詰める事になりかねません。

 焦りを自覚することができたら、思い切って、何もしない日々を設定して、クールダウンし、疲労を取ってからあらためて自分の状態を見つめ直すこともたいせつです。焦りがちな人は、いつもの焦りのパターンに早めに気づいて、リラックスを試みたり、クールダウンのための小休止を取るとか、他の作業をしてあとで考える、一人で抱え込まずに少し上司と話し合ってみるなど何らかの対処をしたほうが良いです。