大うつ病の「大」とは?

 アメリカ精神医学会の操作的診断基準であるDSM-IV-TRでは、「大うつ病性障害」(英語:major depression)と呼ばれています。この「大」は程度のこと、つまり症状の重症度を表しているわけではありません。majorを「大」と翻訳しているだけなので誤解されやすい訳になっているだけで、メジャーmajorは皆さんご存じのように「主要な」とか「多い方の」とか「多数の」などという意味です。つまり、一般的によくあるうつ病、臨床上よくみかけるうつ病というような意味です。これは、うつ病という症候群を引き起こす共通のファクターを持った、中核群としてのうつ病であろうと想定されています。

 そのファクターがこのmajorという意味の根源となっていると想定されているわけですが、このファクターについての大体の共通見解としては、環境要因、心理的要因、生物学的要因があって、これらの絡まり合いで症候群が発生すると考えられています。この3つの要因を、平たくいってしまえば、順に、外的なストレス、物事のとらえ方や考え方、脳の心身症ということになるでしょうか。そして最後の「脳の心身症」が大うつ病の本質だろうというふうにまとめることも出来ます。