コンサータの依存性について

 コンサータの成分であるメチルフェニデートには古くから依存性があるとされてきました。かつてリタリンという名称の薬には、このメチルフェニデートという成分が入っていました。リタリンは内服するとすぐに溶けて、消化管から早く吸収されて、血中濃度が急激に上がります。すると多幸感が生じてしまい、血中濃度が低下するのも早く、薬が切れます。薬が切れると眠気、だるさ、集中力低下が生じてきます。なので次のリタリンを内服したくなるというふうになって、依存が形成される場合がありました。こういったことから、多くの医療機関では処方を差し控えてきましたが、一部の医療機関で無軌道に処方されていました。

 現在ではリタリンは成人には処方できなくなり、かわってコンサータという内服薬が開発されました。これは同じメチルフェニデートですが、このために専用のカプセルが開発されて一新されたものです。このカプセルは特殊な構造をしていて、急激に血中濃度が上がらないようにコントロールをしてくれますので、多幸感が生じることがありません。そして12時間効果が持続できるようになりました。また、薬物依存者が用いていたような手だてである粉砕や溶解もできません。そのおかげもあって、わが国では2007年にコンサータが世に出て、今までのところ依存・乱用が発生したケースは報告されていないようです。もっともこのような成果は、医療機関側でも慎重に検討をしてきていたからであるとも考えられますので、今後も慎重を失わずに適正に運用してまいります。

 ADHD,ADDの治療をするうえで、有効性の高い選択薬の一つであり、適正に用いれば安全性も高いため、大切に検討してゆきたいと思います。