診断基準から見たADHD,ADD

DSM-5の診断基準からみたAD/HDおよびADD


診断基準では、

1.不注意、2.多動性、3.衝動性

の3つに分類しています。


 また症状により著しい障害を社会生活に及ぼしている場合に診断可能であって、自分や他人が困ってなければ診断はつきません。


1.不注意

これは注意に関する障害についてです。

以下のうち6つ以上当てはまるばあいに基準を満たしていることになります。


(a)「学業、仕事、またはその他の活動において、しばしば綿密に注意することができない、または不注意な間違いをする。


 たとえば。。。。

・細部を見過ごしたり見逃す。細部での不注意、ケアレスミスが多い。作業が不正確である。仕事がずさんである。


・・・・・・・周囲に「いいかげんだ」、という印象を与えがちです。



(b) 「課題または遊びの活動で注意を集中し続けることがしばしば困難である。」


たとえば。。。 

「授業や会話、あるいは長い文章を読むことに集中し続けることが難しい。」


・・・・・・・つまり、授業中にすぐ気が散る。仕事上で書類を読み続けるのに非常に苦労します。


(c)「直接話しかけられたときにしばしば聞いていないようにみえる。」


 話しかけても聞いていない。

 いわゆる「上の空」の状態です。心がどこか他のところにあるように見える。


(d)「しばしば指示に従えず、学業、用事、または職場での義務をやり遂げることができない。」 (これは反抗的な行動、または指示を理解できないた

めではない)

 たとえば:

 「仕事を始めてもたちまち集中を失い、すぐに脇道にそれてしまう。そのために、学業、用事、業務を最後までやり遂げられない」。



・・・・・つまり作業を中途半端でやめてしまいがちで、頑張ってもゴールにたどり着けない、たどり着くためには大きな努力を要してしまう。


(e)「 課題や活動を順序立てることがしばしば困難である。」


たとえば:

・連続する作業を最後までやり遂げることが難しい。

・用具などの整理整頓が難しい。

・取り散らかしたり、まとまりがない仕事ぶりである。

・時間管理が不得意で、また締め切りにも間に合わない。


(f) (学業や宿題のような)精神的努力の持続

を要する課題に従事することをしばしば避け

る、嫌う、またはいやいや行う。


たとえば:

・学業、宿題、長い文書やレポートの作成など根気がいる作業を避ける。それらについて考えることも避ける。


(g) 課題や活動に必要なものをしばしばなくしてしまう。


たとえば:

 おもちゃ、学校の宿題、鉛筆など文房具、用具、本、財布、書類、鍵、めがね、携帯電話(スマホ)を紛失しがち。

 置き忘れることも目立つ。


(h) 「外からの刺激によってすぐ気が散ってしまう。」


たとえば:

  外からの物音、声によって、あるいは周囲の状況の変化によって、注意がすぐにそちらに移ってしまう。

  やるべきことと無関係な考えがすぐに思い浮かんできて、集中できない。


(i)日々の活動を忘れる。忘れっぽい。

たとえば次のようなことを忘れる:

・約束

・用事、おつかい

・折り返しの電話

・お金の支払い



多動性と衝動性について:は以下のaからiのうち6つ以上当てはまっていることとされています】

2.多動性


(a) 「しばしば手足をそわそわと動かしたり、トントンたたいたり、打ち鳴らしたり、または椅子の上でもじもじする。」


・・・・・つまり体の動きが多い。じっとしてられない。


(b)「 しばしば教室や、その他、座っていることを要求される状況で席を離れる。」

たとえば:

 「学級、オフィスや職場、あるいは座っていることを求められる場面で自分の席を離れてしまう」

・・・・つまり、成人では、子供と違って、歩き回ったりはしないが、そのかわり、たばこを吸うためとか、空気が悪いからとか、お手洗いにいくからなどと言い訳をしつつ、席を立つことが多い。


(c) 子供の場合「しばしば、不適切な状況で、余計に走り回ったり高い所へ上ったりする。

 大人の場合には、「落ち着かない感じ」が自覚されるにとどまる事が多い。仕事などに従事するとすぐに「何か落ち着かない」「むずむずする」といった不快な感じがする。


(d) しばしば静かに遊んだり余暇活動につくことができない。

たとえば:

 物音を立てないようにということが苦手。物音を立てやすい。

 状況にふさわしくない騒々しさ。


(e) しばしば“じっとしていない”、またはまるで“エンジンで動かされるように”行動する。

たとえば:

・子供が勢いよく動き回る。

・大人の場合は、レストランやミーティングなどで長時間じっとしていることができない、あるいは居心地が悪く感じる。他人の目には落ち着きのない人、じっとしてられない人にみえたりする。

・・・・・これは(c)と重複しているようにおもわれます。ただし、この(e)の方が、体や眼球の動きに重点を置いています。


(f) しゃべりすぎる。

・一方的にしゃべってしまう。


3.衝動性

(g) 「質問が終わる前に出し抜けに答え始めてしまう。」

大人の場合、たとえば:

・人の言いかけたことを代わりに完結させる。

・会話において許可なく話し始める。

・会話で次の番を待てない。

・必要以上に他人の発言に割り込む。

・人の発言の終了を待たずに話し始める。

・・・・・・自閉症スペクトラム障害の場合での、会話の文脈が読めない、無関係な話題を始める、とは異なる。


(h) 「しばしば順番を待つことが困難である。」

たとえば:

・子供の場合には、待つことが苦手なので、順番で待っている列に横から割り込む。

・大人の場合には、一列で待っている列に並ぶことが苦手なので、それを不適切なほど回避する。


(i) 「会話やゲーム、あるいは活動に干渉する。人のものを断ったり許可を得たりすることなく使いはじめる。青年や成人ではほかの人がやっている事

に割って入ったり、取り上げてしまったりする」


たとえば

・大人の場合、他人の活動に割って入り、その主導権を握ってしまう。