インチュニブの作用、効果、副作用について


インチュニブの歴史

インチュニブは、もともと血圧を下げる薬(降圧薬)として開発されました。交感神経の過剰な興奮を抑えて循環器系を安定させる効果があります。それとともにこの薬を内服することで情緒的な安定が得られることが知られていました。そこで安定効果について研究が進められたところ、とりわけADHDの多動・衝動・不注意に優れた効果があることがわかりました。つまりこの薬は、落ち着いて作業を継続できるよう促します。わが国では2017年に厚労省によりこれが三番目のADHD治療薬として承認されました。安全性も確認され、6歳以上で用いることができます。

作用メカニズム

他の2剤(コンサータ、ストラテラ)とは異なっているのは、ノルアドレナリンを増やすのではなく、ノルアドレナリンが多すぎず少なすぎず、ちょうどよいバランスを維持できるように調整することで、神経機能を高めることを目指します。つまり、このようにノルアドレナリンを中間的な状態に調整することによって、集中力を向上させます。

 

この薬は、即効性はなく、穏やかに少しずつ効果を発揮します。毎日1日1回の内服を要します。

効果

この薬の効果の本質的な特徴は、落ち着いて作業を持続できるということです。多動、衝動性、不注意の改善が目的となります。それに加えて、以下のような様々な不調を改善させることも期待できます。

 

・内的な落ち着きのなさ。

・あちこちに注意が散らばってしまう。

・憂鬱になったり、高揚が生じるなどの気分変動が生じやすい。

・極端で偏った過集中。

・不安感、焦燥感、イライラ感などの情緒的な不安定。

・睡眠不良。

 

 

以上のような不調を改善し、感情的にも行動面でもちょうどよいバランスを維持することで、日常生活や仕事のペースがつかみやすくなります。それとともに様々な試みや工夫など効率化を図りながら、適応的な行動の習慣を身に着けて、やがて服薬の必要性が減らす方向を目指しましょう。

コンサータとの併用薬としての位置づけ

インチュニブはコンサータの併用薬としての位置づけられ、相性が良い組み合わせとされています。コンサータでパフォーマンスを上げ、インチュニブでバランスよく落ち着いて活動を維持できるという方向を目指します。

副作用

・眠気(とくに内服初期)

・口の渇き

・めまい

・血圧の低下。少し血圧が下がります。もともと低血圧症や起立性低血圧がある方は、インチュニブの内服は慎重を要します。

・徐脈

・失神。これは血圧の低下による症状です。もともと低血圧症の方はこれが生じるリスクがあります。

・急激な中止によりリバウンドが生じて血圧が上がりやすいです。増量と同様に減量も段階的に行う必要があります。

 

・妊娠中は内服できません。