社会不安障害、あがり症が発生するメカニズムは様々な要因が複雑に絡み合っています。しかし、おおむね、同じようなパターンがあるように思われます。
● 不安を感じやすい体質。人によっては、もともと生まれながらにして不安を感じやすい体質があると考えられます。これは遺伝的に親から子へと引き継がれることもあるようです。そもそも不安を感じやすいという体質は、物事を慎重に考えて、先を読む、リスクを感知する、という重要な精神機能が発達しているということです。しかし、不安に振り回されてしまうようになると、パニックになったり、物事にうまく対処できなくなるという欠点もあります。そうなると対処方法としては、不安の原因となることを回避したいとおもう選択肢が強くなるばかりです。
● 物事を失敗してはならないという意識が強い、人の目を気にしすぎる、他人の評価を重要視しすぎる、というような側面が強すぎる場合は、育ち方などの環境が影響していることがあります。
● 身体的な反応が発生しやすいことも大きな要因の一つです。心の動きは、体の変化を引き起こします。たとえば、日常生活の中で、ハッとするような不安感を感じると、ドキッとしたりします。これは不安という心の動きが、ドキッとする心臓の動きを引き起こしています。これは自律神経によって心と体がつながっているという例です。また同じ感情でも人によっては、まったく体の変化に現れない人がいたり、上で述べたようにドキッとする人がいたり、汗が出るという人がいたり、震えてしまうという人がいたりと、さまざまな身体の変化の現れ方があります。あがり症になりやすい人は、震える、トイレに行きたくなる、汗が出るなどの身体の変化が現われやすいです。
● 悪循環の形成によって緊張がさらに高まりやすいです。身体の変化によって、自分に注目している人々に緊張が悟られてしまうと思ってしまうことが、さらに緊張を高める要因になります。
● 自己へのとらわれも重要な要因であると思われます。これは生き方、人生の見方、自己へのまなざし、など大きなテーマともかかわっています。この点については別の機会にまたお書きしたいと思います。