症例検討会にて。

 この症例は言葉にならないくらいあまりに不幸な出来事があったあとの人です。この出来事がトラウマにもなっています。これから生きてゆく道すじを思うと困難が予想されます。またそもそもこの人は問題解決に向けて行動することが少なく、それがこの不幸な出来事が生じたことにもつながっています。どことなく空虚なところがひろがっています。

 担当医は心理療法的にアプローチしています。これといった計画をたてることは難しいです。それがどのように患者さんの行く先の支援になるのでしょうか。無色透明なくらいに取り掛かりが少なく、それだけに担当医が色々な試みをすればするほど、担当医側のあり方が浮き彫りになったりもします。おおくの患者さんの中でもこの患者さんを特別扱いにして別枠で少し長めに診るときには、この枠設定がどういう意味を持っているの、どのような意図があるのかも検討を要します。