うつ病と栄養

日本うつ病学会の講演会です。うつ病と栄養の関係についてです。演者は功刀浩(くぬぎひろし)先生です。とても堅実なタイプの先生のようです。

 

 この講演でも、統計結果を比較検討しながらです。

 たとえば、魚の油に含まれるDHAを多く摂取している人はうつ病が少ないようであり、EAPは治療にも効果があるかもしれません。その他、葉酸、ビタミンDなどのビタミン群、亜鉛、マグネシウムなどのミネラルの不足もうつ病との関連性が指摘されています。緑茶もうつ病のリスクを下げます。また腸内のプロバイオティックつまり善玉菌もうつ病リスクを低下させます。腸内の善玉菌と脳の機能は関連しているという「腸脳相関」という最近の考え方も紹介されました。またエネルギーの過剰摂取や食生活の欧米化(これは大陸食のことであり、いわゆる地中海食は食べることが推奨されています)はうつ病を増やすことが指摘されています。

 私が思うに、要するに、栄養バランスの良い食事が重要であり、とくに魚を積極的に食べること、その上にプラスアルファとしてサプリや製剤(栄養分のはいった薬)を摂取することが有用だということになろうかと思われます。サプリはあくまで補助です。

 また、うつ病になっている場合には受診を早めにすることを強く勧められています。

 

 功刀浩先生は著書多数ですが、今回関連する著作はたとえば次のようなものがあります。

 

 

功刀 浩 (くぬぎ ひろし)

国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター

 神経研究所 疾病研究第三部・部長(疾病研究第六部・部長兼務)

 

 気分障害先端治療センター長

 

講演会では、堅実な印象を受けましたが、この著作ではユーモアも交えて、皆に読みやすいような体裁になっているようです。講演会で、自らこの著作も紹介していましたので、読んでみたいと思います。