今回ご紹介するのは、一見クールなアクション映画でありながら、人間ドラマを描いた異色の名作『コンサルタント』です。
2016年アメリカの作品。
驚異的な能力を持つ「会計士」
主人公クリスチャン・ウルフは、自閉症スペクトラムという特性を持っています。彼は驚異的な計算能力と分析力を武器に、世界中の危険な組織の裏帳簿を整理する「裏社会の会計士」として活動しています。しかし、彼の凄さは計算力だけではありません。元特殊部隊の厳格な父親による特殊な教育(過酷な訓練)の結果、プロの暗殺者をも圧倒する高い戦闘能力を身につけているのです。そのような設定です。
構築される「信頼関係」
特性上、彼は一般的な対人関係を築くことに難しさ(難点)を抱えています。一見すると無機質で孤独な存在に見えるかもしれません。しかし、この映画で私たちが最も感銘を受けるのは、彼の持つ「共同体感覚」です。 彼独自のルールや距離感はあるものの、関わった人々との間には、言葉を超えた心のつながりや深い信頼関係が構築されていきます。その不器用ながらも誠実な絆の形成に、観る者は強く惹きつけられます。
彼は、自分の特性を否定したり、無理に世間一般の「普通」に合わせようとはしません。まずはありのままの自分を受け入れ、その上で、自分にできることを通じて、目の前の課題に真摯に向き合います。この「自分がやるべきことを全うすることで、他者に貢献する」という姿勢こそが、彼と周囲との間に特別な絆を生むポイントとなっています。流暢な言葉によるコミュニケーション能力がなくても、「自分が自分であること」を大切にしながら、誰かの役に立とうとするとき、そんな彼の姿は、孤独を感じがちな現代を生きる私たちに、他者との信頼関係、コミュニケーション、社会との繋がり方を示唆してくれているように感じます。
映画では、主人公は、アメリカ人が好みそうなタイプでもあるのでしょう。しかし、基本のところは普遍的でもあると思います。