光トポグラフィーの診断の力について

 最近、検査によって、うつ病か、双極性障害か、あるいは他の疾患かを見分けるとされる検査方法が開発されたというふうに、NHKで紹介されていました。この放送に影響されて厚労省が動いたり、光トポグラフィーを売りにしているクリニックがところどころに現れました。

 しかし、この検査だけで明確な結果が出せるようなものではありません。NHKの勇み足であるのは明らかであり、偏った見方を助長するようにも思われます。診断にはやはり多面的な検討が不可欠なのです。メンタルの領域は、わかりにくいところが多いだけに、流行がありますが、流行はバランスの取れた見方を失われがちです。NHKの番組では、診断をするのに問診が重要であるというこれまでの100年以上にわたる精神医学の常識を、真っ向から否定してしまいました。しかし、現在、光トポグラフィーを活用しているところでは、問診を重視しているのは当然です。

 光トポグラフィーは、果たして問診の補助になりうるのか否か、これが光トポグラフィーを評価する目安だというのが、現在の位置づけではないでしょうか。