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注意欠損多動性障害(ADHD)と軽度の自閉症(アスペルガー症候群)の違い

 注意欠損多動性障害(ADHD)と軽度の自閉症(アスペルガー症候群)は別のものです。ここでは両方の違いについてお話しておきたいと思います。実際には時々この区別は難しいことがあります。それぞれの得意、不得意を把握することも大切です。

 注意欠損多動性障害(ADHD)はうまく実行できない障害があります。いわゆる「実行機能の障害」です。軽度の自閉症にもやはり実行機能の障害があるように見えることがあります。ただし、この実行機能障害のあり方が、ADHDと軽度自閉症では似ているように見えて異なっています。

 ADHDの実行機能の障害の特徴は、当の本人が「状況がわかっているけどうまくできない」、ということです。それにたいして、軽度自閉症の場合は、「状況がわからないのでうまくできない」のがポイントです。軽度自閉症の場合には、臨機応変に場面の状況を把握することが苦手です、つまり状況が動くとわからなくなりやすいのです。そしていつでもどこでも同じパターンで実行しようとして失敗しがちです。ADHDでは動きがあって変化がある状況の方を好みます。

 またAD/HDは、あれやこれやと活動することが色々と思い浮かんで、活動が増えてしまう傾向があります。そのために一つのことに集中を持続することが困難になります。もっともすごく興味のあるところであれば過度に集中しすぎてしまうこともあります。それにたいして、軽度の自閉症の場合には、淡々と一つのことに取り組み続けたり、一つのことだけに集中して深堀りしたり、同じ行動パターンになったりしがちです。地道に堅実に淡々とルーチンワークをこなせます。パターン化することに成功したならば、非常に複雑な作業であっても、精度も高く、高効率に行えることも少なくありません。成功はパターン化できるか否かにかかっているともいえます。

 大雑把に言うとADHDの場合には、動きのある仕事が得意で例えば、その人の才能を活かして営業やデザインその他のクリエイティブな新規性のある仕事にむいていて、軽度の自閉症は、難度が高くてもパターン化可能な作業内容を落ち着いて静かな環境できること、マルチではなくて、専門分野を極める深掘りの仕事、研究者などに向いています。

 ※ ただし、注意欠損多動性障害(AD/HD)と軽度の自閉症は、併存していることもあります。つまり異なった行動様式が混在しているということです。

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カフェインの上手な活用

 カフェインはアデノシンという脳内の睡眠物質の作用をブロックします。そのことで眠気を覚まさせる効果があります。もっともカフェインの眠気覚ましの効果の度合いは、人によって異なりますし、日によっても異なります。

 日中眠気を軽くするためにカフェインを上手に活用するのも一つの方法です。

 カフェインが入っているもので一般によく飲まれるものがコーヒーやお茶です。

 コーヒー一杯でおよそ60mgのカフェインが入っています。緑茶ですと一杯20~40mgと少なめになります。しかし緑茶は健康には良くて、コーヒーよりたくさん飲んでも構いませんので、おすすめです。

 栄養ドリンクにはコーヒー一杯分くらいのカフェインが入っています。コストパフォーマンスとしてはよくありません。なかには特別たくさんのカフェインが入っているドリンクもあります。

 カフェインの含有量が多いものは玉露1杯100mg~150mgです。それに相当するのがコーヒーのなかでもとりわけ濃いエスプレッソです。缶コーヒーには意外にそれくらいのカフェインが入っているものが多いです。つまり缶コーヒーには普通のコーヒーの2,3倍のカフェインが入っているようです。ペットボトルのお茶もコーヒーほどではありませんが多めです。飲み心地を良くするために、人工的にカフェインを添加していると思われます。

 上手に活用しましょう。

 

カフェインを摂取するにあたっての注意点:

・カフェインを摂取しすぎないようにしましょう。また相性によっては体調に変化を来す場合もあるかもしれません。

・カフェインを取りすぎると、慣れが生じて、だんだん効果が薄れてくる傾向があります。同じ効果を得るのに分量が多くなりがちです。つまり耐性がつくことがあります。カフェインを摂取しないあるいは少なめに摂取する日を週に2日くらい設けましょう。つまり休日をそれに充てるとよいとおもいます。

・よく言われるように、カフェインで眠れなくなることがあります。人によって、日によって異なります。カフェインと不眠の関連性がわかりにくい時もありますので、念のために午後の3時を過ぎたらカフェインを摂取しないほうが良い場合もあります。なおウーロン茶やほうじ茶にもカフェインは入っています。

・パニック障害の場合には、カフェインはパニック発作を誘発するような刺激がありますので、あまりたくさん飲まないようにしましょう。カフェインとパニック発作の関連性は人によって大きく異なり、また関連性があってもそれに気づきにくく、盲点になりやすいので注意してください。

 

アデノシンとカフェイン

 アデノシンは代表的な睡眠物質のひとつです。アデノシンは筋肉細胞や脳細胞などの主要なエネルギー源であるアデノシン三リン酸(ATP: adenosine triphosphate)の分解産物です。アデノシン三リン酸は糖質などから作られます。筋肉細胞や脳細胞が日中に活動するとアデノシン三リン酸が燃えてその分解産物であるアデノシンが体内に蓄積していきます。それが眠気を引き起こします。夜になって眠気を引き起こすと丁度よいのです。日中に活動をして、夜はぐっすりと眠れるというふうにうまく活動のサイクルがつかめるようになることが望ましいです。

 

 カフェインはアデノシンの作用を抑制することで目覚ましの効果(アデノシン受容体拮抗作用)があります。因みに、アデノシンは覚醒物質であるヒスタミンの作用を抑制することで眠気を引き起こすようです。たとえばアレルギーを緩和する薬や風邪薬には抗ヒスタミン作用を発揮すると眠気が生じます。

メラトニンと睡眠(不眠症)

 メラトニンは、睡眠覚醒リズムの周期(いわゆる体内時計)を調整しているホルモンです。これは脳の小さな一部分(松果体)で生成されています。

 日中に強い光を浴びる、つまり目から強めの光が入ると、メラトニンの分泌量が減って目が覚めやすくなります。逆に夜暗くなるとメラトニンの分泌量が増えて眠るためのコンディションが整ってきます。

 子供や若者はメラトニンの量が豊富で、よく眠るのですが、年齢とともに徐々に減少する傾向があります。しかし高齢者であっても、日中の日照時間が多いと、夜になると若者並みにメラトニンが増えるという研究結果もあります。

 やはり日中は陽の光を浴びて活動すると、夜はぐっすりと眠りやすくなるようです。とくに朝に日光を浴びるのが良いようです。

 アメリカではアメリカ食品医薬品局(FDA)によって、メラトニンがサプリメントに分類されています。

うつ病が治るということ。

 うつ病は十分に治ってほしいものです。うつ病が治るということはどのような状態なのでしょうか。うつ病がなおるということは「寛解」、「再発抑制」、「社会機能の回復」から考えていかなければなりません。

 

●うつ病の症状が消失していなければなりません。症状が消失していることを医学では「寛解」と呼んでいます。しかし「寛解」は「治癒」とは異なっています。寛解だけでは不十分です。

●現在、症状が消失していても、前回の発症のきっかけと同じようなストレスがかかると、再発することもあります。この再発がないようにしたいものです。

●社会機能の回復。

 うつ病の症状が消失している状態、つまり寛解状態であっても、なんとなく億劫感がある、集中が今ひとつ、気力が充実しない、朝が辛い、疲れやすい、頭の働きが少し鈍っているような気がするなどの状態が続く場合があります。これらはうつ状態ではないのですが、いまほとつ社会機能が十分に回復していないと考えられます。またこれらは数ヶ月あるいは1年位続くこともあります。このあたりも含めて改善するのが真の治癒であると考えられます。

 

・日常生活の基本(衣食住)が円滑に行える。

・仕事、家事での集中力、判断力、思考力が回復している。

・無理なく対人交流ができる。

・趣味や興味関心が戻ってきている。

 

 ペースをつかんでいけるように、焦らず、根気強くやっていきましょう。

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心因、疲労、焦り。そしてうつ病の発症

<心因、疲労>

 心因も疲労も、はっきりしたうつ病という疾患ではありません。医学的な管理や助言が必要な場合もありますが、多くは本格的な医学的な治療の対象ではありません。疲労であれば休息すれば改善することも期待できます。心因であれば、原因となる心の葛藤がよくなれば改善します。

 しかし心因なり疲労がひじょうに長引く場合があります。この場合にはうつ病とのグレーゾーンというのもあります。つまり、単なる心因や疲労よりうつ病の側に一歩進んでいる場合です。これをうつ病になりかけの状態、あるいはうつ病の発症の前の段階だとみなすこともあります。この場合は往々にして焦りが関与しています。うつ病の発症は一般に心因や疲労にくわえて焦りによって引き起こされがちです。

<焦りとうつ病>

 几帳面でまじめで頑張るタイプの方は、この状態を乗り切るために、持ち前のこの精神を発揮させすぎて焦りに焦りを重ねる場合があります。頑張りすぎて、成果が上がらないと焦り、疲労も強くなり、自己評価が下がり、さらに焦ってもっと頑張ろうとする、という悪循環です。焦りのさなかになると、視野も狭くなりがちで、有効な手立てを講じることができないままに、まっしぐらに突き進もうとしがちです。このような状態ではうつ病になるリスクも高まります。

 焦りが強くなると自ら気づいて修正することが困難なので、周囲から「焦らないように」などと助言してもらうことも大切です。また一緒に今の状況を見つめ直すのもよいでしょう。逆に周囲がもっと頑張れ、頑張りが足りない、などとさらに焚き付けることのないようにしなければなりません。さらに追い詰める事になりかねません。

 焦りを自覚することができたら、思い切って、何もしない日々を設定して、クールダウンし、疲労を取ってからあらためて自分の状態を見つめ直すこともたいせつです。焦りがちな人は、いつもの焦りのパターンに早めに気づいて、リラックスを試みたり、クールダウンのための小休止を取るとか、他の作業をしてあとで考える、一人で抱え込まずに少し上司と話し合ってみるなど何らかの対処をしたほうが良いです。

うつ病の「内因」とは。

 「内因」という言葉をお聞きになられたことがあるかもしれません。「内因」という言葉はわかりにくいものです。

 うつ病になりやすい人となりにくい人がいます。その原因は不明です。原因は不明ですが、精神医学ではうつ病になりやすい内的な原因を「内因」と呼んでいました。うつ病は、「内因性精神疾患」とされます。

 それに対して、心理的ストレスの原因がはっきりしている場合には、心因性うつ病と呼んで区別することもあります。

 しかし実際には、内因と心理的要因と環境要因が絡み合ってうつ病となっています。うつ病は内因という一つの要因によって発症されるのではなく、多因子であると考えられます。内因、心理、環境の割合は様々です。対処によってかなりこれが改善されるものです。その際、内因という考え方も重要です。

うつ病とアルコール

 アルコールで一時的に抑制がはずれて楽になっても、その後にうつ病がひどくなりやすいです。またアルコールで入眠が促がされますが、睡眠の質が悪くなったり早く目が覚めたりしがちです。

 アルコールでうつ状態や睡眠障害が悪化して、それを軽くしようとアルコールの量が増えるという悪循環になる事がありますので飲酒の習慣のある方はご注意ください。

『軽症うつ病の時代』笠原嘉

『軽症うつ病の時代』笠原嘉

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運動、栄養、食事

 運動、栄養、食事について、まとめてみました。何か参考になれば幸いです。

 総じて見れば、日本の健康食、地中海式の健康食のようなものが良いようです。

 また栄養バランスも大切ですね。

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北山修先生講演会

【北山修先生の講演会から】

【三つの区分】

 北山先生は、発達段階を大きく三つに分けて、対処方法の違いを区別しています。この三つの発達段階は、精神病、BPD(境界性パーソナリティ障害)、神経症です。BPDという区分を認めないのは少数派です。しかし、是非に着目したいと思っている最近の傾向があります。かつて1990年代や2000年代には、BPD(境界性パーソナリティ障害)という診断名が盛んに用いられたのでした。何かといえばすぐに「境界性パーソナリティ障害」あるいはそれに近いものという言葉が出てきて、症例検討会でもそのように見立てることが多かったです。どうしたことか、近年はこの言葉があまり用いられなくなってきました。時代の変遷によってかつてのような激しい行動化が実際減ってきたというのもあるでしょう。それに加えて、とくに近年精神医学のなかで、ADHD、自閉症スペクトラム障害、双極性障害2型という疾患に着目することが増えてきたので、境界性パーソナリティ障害からそちらに診断名が移行したことも考えられます。BPD(境界性パーソナリティ障害)とは診断名・病名であるとともに、パーソナリティの構成のあり方に着目しているものですので診断名ではないこともあるのが混同しやすいところです。

 さて、北山先生の上の三つの発達段階に対応した診断名、つまり精神病、BPD(境界性パーソナリティ障害)、神経症に戻りますと、この区分方法は、おそらく古典的な区分に近いものではないかと思われます。つまり、このBPDは、精神病と神経症の間であるという考え方が基礎にあります。DSMのBPD(境界性パーソナリティ障害)ではこのような考え方の基礎は希薄化しています。北山先生のこの分類は、DSMのものとも重なっているとともに、20世紀半ばの「境界例borderline case」あるいはそれ以前の区分といってもいいかもしれません。いずれにしても現代でもこういった3つに区分をすることがありますが、北山先生はこういった三つの区分を精神分析の発達理論とも対応させます。つまり精神病は口唇期に問題が固着している、BPDは肛門期に、そして神経症はエディプス期というふうに対応させます。これは図式的ともいえる区分法です。さらに、3区分に対処法を組み合わせます。つまり、北山先生はBPDあたりに「分水嶺がある」として、BPDでも場合によって対処法が分かれおり、精神病およびBPDでも精神病の側に寄っている場合には「おおいを作る」対処方法をとり、神経症側に寄っている場合には「おおいを取る」対処法を取ります。ですから実質的にはBPDは二種類あるという分類になります。つまり精神病に近いものなのか、神経症に近いものなのかということです。こうして4つに分類されていて、対応法から考えれば実質的にはたった2つに分類されています。

 余談にもなりますが、摂食障害は境界性パーソナリティ障害とは異なるのが、公式の分類ですが、心理的発達の段階で見れば、口唇期に問題があると思われ、この水準を扱うにあたっては、通常の心理療法も精神分析療法も非常に難しいことが多いです。「おおいを作る」のにも「おおいを取る」のにも難しいというか、何ともしようがないようにも思われます。また摂食障害は強迫的傾向が非常に強いために、それは精神分析的には肛門期の問題としても考えることができます。強迫性という肛門期のテーマも扱いは、口唇性ほどではないにしても、これも困難です。このように摂食障害は口唇期と肛門期の両方が組み合わせっていて、通常の神経症とはだいぶん異なっています。なお「肛門期」という言葉はどんな病理性であるのか今ひとつ説得力をもたないようにも思えますが、「口唇期」はかなりリアルな説得力を持ち得ます。

 さて「おおいを作る」とはどのようなことをするのでしょうか。これは色々あります。おもうに、たとえば次のようにも説明できます。つまり、十分に納得がいかなくても、理解の落としどころを作るのです。それによって穴を塞ぐのです。これは言葉や考え方などを与えたり一緒に考えたりします。でもこれは真に考えることではありません。考えようとしても考えられない、考えようとすると悪化するリスクの方が大きくなるので、おおいを作っておくのです。しかし、あまりにおおいを作りすぎると、こころのなかに二重構造を作ることを強化しすぎる可能性もあります。これはいわゆる抑圧のメカニズムの代わりになるような構造を作って、より保護的なものにすることです。しかし、これにはリバウンドがあり得ます。それにそんなにうまくいくものではありません。何か訳のわからないものを、開かずの部屋に閉じ込めてしまって、封印をしても、かえって、内部のものが自己主張して思わぬところで漏れ出てくる、抜け道を通ってでてきてしまうなどと、始末が悪くなりかねません。代替物をあまり強くしすぎるとそれ自体が病理的なものを引き起こすということもありえます。

 時にはおおいをうまく開けることもできるくらいのゆとりが必要です。訳のわからないものはさしあたりドアのないお部屋に入ってもらって、ドアを作って閉めて、時々ドアを開けてゆとりを持って話したり、調子がどうかを尋ねたりができるくらいに折り合えるのがよいかと思われるのです。そしてあまり窮屈ではないように、時には散歩に連れ出したりしてもよいわけです。そして、それとある程度の交流を通じて、何か心の幅が拡がるような、思わぬ発見ができることさえあるかもしれません。そして普段は忘れておいてもよいのです。

 これくらいになれば、だいぶん落ちついて来たともいえるでしょう。これは神経症モデルに近いものを作るということです。そしておおいは頑丈すぎず(所詮頑丈なおおいを作ることができませんが)、ある程度は開け閉めができるということです。でもこんな楽観的な話しではおさまらないような気もします。 

 なお精神病の場合には、このようなお部屋作りやドア作りはさらに困難です。意図的に作るのではなく、自然にそうなっていくように緩やかに心理的なサポートをするというふうでしょうか。 

 また内服薬も効果が期待できます。たとえばドーパミンを調整するようなタイプの薬は穴を塞ぐ作用があります。精神病では、自我と外界のあいだにある壁やドアや窓に幾つも穴が開いてしまっていると考えられるので、穴が開いたところを内服薬でパッチを当てるようにして塞ぐ効果があるというイメージでもあります。 

 北山先生の著作には『覆いをとること・つくること - <わたし>の治療報告と「その後」』があります。 

【「劇的」の観点から】

 北山先生は、精神分析を「劇的」という観点から考えます。『劇的な精神分析入門』や『悲劇の発生論-精神分析の理解のために』などがこういったテーマが関連していそうな北山先生の著作です。

 精神分析を「劇」という観点からとらえるというものです。

 日常生活のなかでは、トラブルやあるいは好ましいことなど様々な出来事が生じますが、精神科臨床や精神分析実践のなかでも日常生活の中で発生することと同じことがテーマになったり、垣間見られたり、あるいはその現場でつまり診察室やカウンセリングルームの中でも発生することもあります。これらの幾つかの出来事をつなぎ合わせて全体としてみると、その人の特徴が現れているように思われることがあります。外で現れる出来事は、この部屋なかで担当医・カウンセラーとクライエントとの関係においても生じても不思議ではないということは、精神分析的なカウンセリングの世界では常識のようにして教えられるものです。人物、環境、設定などがいろいろにかわっても、このクライエントには何かいつものパターンがありそうだというわけです。そのパターンはこの臨床場面でも繰り返される可能性があるわけです。このような繰り返しを、精神分析理論では「反復」という専門用語で呼ばれています。つまり、幼児期や少年少女期に形成された何らかのあらすじのようなものが、成長して以降も、おきまりのパターンとして手を変え品をかえ、そして対象となる人を変えながら繰り返されているらしいということです。そしてとくに担当医、分析家、カウンセラーを相手(対象)にして発生する「反復」を特別に「転移」と呼んでいます。

 元々の原型的なものがあって、それが反復されるとされます。このあらすじのようなものがシナリオをつくって、そして患者は様々な役者を配して現実世界を反復構成するのです。ですから、いつも同じようなことが生じる傾向が生じるのです。そしてその主人公はクライエント自身です。こういったことの全体が北山先生の言う「劇的」と呼ばれるもののようです。

 もともとの原型となるようなオリジナルのあらすじは一般に父親や母親などとの関係や生まれ育った環境、そして本人の性格特性など複合的に形成されるのでしょう。

 ともかく、まずは自分の考え方、行動、言動、巡り合わせ、対人関係のありかたなどに、何かいつものパターンが繰り返されてはいないか、気がつくことが有意義です。そこからさらに進展があり得ます。知っておくだけでも、その都度の対処の仕方考え方に変化が現れます。振り回されずにより客観的に対処しやすいでしょう。さらに、こういったいつもの自分の傾向について多面的に考えてみることも有意義だと思われます。

 さて、そもそも精神分析にはその発祥からして、演劇的なところがありました。ヒステリー患者は演技性があるというのはほとんど常識的なこととして繰り返し語られてきました。ヒステリーでみられる諸症状も演技性と関連しています。誰に見せるわけでもなさそうにも見えても、密かに誰かに見せているような、それでいて自分でもそのことに全然気がつかないような演技性です。ですから医学的に理解出来ないような不思議な現象、症状がたくさん生じてくるのでした。ちなみに詐病ではなく演技性です。時代によっても様々に症状がかわります。

 最初にヒステリーに注目して研究したひとりがシャルコーというフランスの精神科医でした。彼は医学部の学生たちの前でヒステリー患者を連れてきてプレゼンテーションをしていました。いまでもあると思いますが、当時の講義用教室は階段状だったり、すり鉢状でもあったりで、実際フランス語ではamphitheatreアンフィテアトルと呼ばれています。「Theatreテアトル」とは劇場です。実際Amphitheatreは劇場ではなく教育の場所ではありますが、シャルコーはヒステリー患者を呼び出して、ヒステリー症状を学生たちの前で見せたりしていたのでしたら、このときはまさに劇場のように機能していたのでした。またヒステリーの治療を本格的に行い、精神分析を創始したのはフロイトでしたが、フロイトも分析のなかでは、患者に演じさせていたともいえるかもしれません。フロイトは演出家であり、それをヒステリー患者はフロイトの意図に叶うように自分をかなり柔軟に変形させることもできる女優なり男優でありえますし、夢もフロイトの意見にあわせた内容でみることもできたでしょう。そういったことについてフロイトも患者も半ば気づきながら、半ば気がつかないふうであったようですが、フロイト以降の精神分析家たちは、こういった状況把握にはますます注目するようになりました。北山先生の「劇的」というのもその一つの表れです。もちろんフロイトもこのことについては気がついてはいて、技法的には、患者に自由連想を命じて、患者は寝椅子に横たわり、患者が見えないところにフロイトが座って、フロイト自身はあまりしゃべらないという設定をしたのは、ヒステリーの感が鋭く状況即応的で演技的なところを取り扱い可能なようにするのに適していたからだと思われます。そして生じてきた「転移」を過去の「反復」と見なして分析をすることを「転移分析」と称すようになりました。あるいは、英国学派では過去を見るより「今、ここ」にみられる反復を主たる着目点にもしているようです。

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北山修先生の講演会

 北山修先生の講演を聴きました。北山先生は日本の精神分析系の精神科医としては最も有名な人のひとりです。若いときには「ザ・フォーク・クルセダーズ」のメンバーで。『戦争を知らない子供たち』『あの素晴しい愛をもう一度』などを作詞しました。今回は、精神分析的観点から精神科医の聴衆に向けての講演です。いままで北山先生のお話は20回以上聴いたことがあります。前にお話しした藤山直樹先生ともよくコラボをしています。話しの合間にユーモアを交えて、聴衆を笑わせながらです。笑いの面でも藤山先生とも相性が良いようです。

 今回は「劇」(あるいは劇場の舞台で繰り広げられる劇)という観点からです。北山先生の論じる主要なテーマの一つです。これは医学用語ではありません。クライエントの対人関係上をめぐる認識、着想、行動には、繰り返されるパターンが見いだされる場合があります。特にここでの「劇」とは、父親や母親など特別な他者とともに形成した台本・筋書きが、成人して以降も、相手を変えながら反復してしまうという場合についてです。これを本人が知らぬ間に反復していても、本人ばかりか、他人や治療者側も気がつきにくいのです。

 しかしそれについて気がつくことができれば大きな発見です。自分自身と対人関係をより客観的に見直すことができます。

 

事例検討会

 今回は500人くらいの精神科医が集まる規模の大きな事例検討会に出席しました。3つの事例が提示されました。いずれも入院を要し、ことさら困難を伴うケースばかりでした。

 シンポジウム形式でしたが、この会の最大の特徴は、精神科医、厚労省の精神保健を担当する方、精神保健関連の法律を専門にする大学教授が一緒になって症例について考え論じるということです。

 行政、司法、立法、現場の精神科医が連携して大変難しい症例について検討会を行うということは、それぞれの立場にとって、とても意義深いことだと思いました。

 

最近の印象

 最近、偶然に下の動画をみてとても感心しました。子供が自分で作詞作曲したものです。これは精神医学的にみてというのではなくて、むしろカウンセリング的な観点から見てということです。驚きです。

 日本語訳だとかえって分かりにくくなるようですね。

 

I don't know my name.

I don't play by the roules of the game.

So you say I'm just trying.

Just trying.

というのが曲のベースになっています。

幾つかの変遷があって、曲の最後はBut I'm trying to find my way.

 

 「自分の名前を知らない」というのは象徴的ですね。自分の存在を根本から(つまりゼロ)から見つめ直して、自分なりの生きる道を見出そうとしています。奇跡的です。gameとは人生のたとえでもあるようです。

 

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 春より秋のバラはきれいで香りが良くて花もちがいいのですが、今年は雨が多く天候がすぐれず、数が大分少なかったです。ホワイト・クリスマスという品種です。

事例検討会:スーパーバイザー大野裕先生、藤山直樹先生

 ある精神科医の提示した症例報告にスーパーバイザーとして大野先生、藤山先生がコメントするという構成です。

 痛みが強いクライエントについてです。認知療法をすこし四角四面に行うきらいがあるようにも思われました。それとこのようにインテンシブに時間をとって行うという枠組みがどれくらい続けることができるのでしょうか、一時的なものなのでしょうか。またAQというテストで自閉症的傾向がかなり高得点でもありました。もしこの傾向があれば、過去についてこだわった一点には徹底的にこだわりぬいて、心理的な痛みにまで発展しうる、と大枠の理解がほぼ完了してしまいます。この自閉症的傾向の有無についてはまったく議論されませんでした。でも自閉症的という枠組みだけで片づけてしまうと、身もふたもないのです。

 藤山先生は痛みの背景にあるクライエントのこれまでの経緯を見通すことに非常に優れているように思われました。もっとも解釈について押しつけがましいところもあります。それは解釈が正しいか否かといった問題以前のことです。クライエントとの面接(つまり精神分析的セッション)の場面でもこのような傾向が見られれば、知らず知らずに阻害要因として大きな課題になる可能性もあり不安さえ覚えるのです。もちろんはっきり解釈してくれることを好ましく思うクライエントもいるでしょうが。しかし繰り返しになりますが、藤山先生の見通す能力はやはり強く注目すべきところがあります。また藤山先生には口数の多い解釈のし過ぎに対するセンシティビティは十分にあるとは思うのですが。

 大野先生は、やはり認知療法を型どおりに行う傾向になっている点について疑問を投げかけていました。そして藤山先生が言葉多くに発言するのに対して、大野先生は控えめな発言でした。この控えめさが良い時もあります。大野先生はあまり多くを発言しませんでしたが、最後の締めくくりとして「痛みと付き合っていく」ということもテーマにしていくことも大切そうだ、ということでした。これは常識的ともいえる意見ですが、全体をうまくまとめるものでもあります。報告者のドクターも肩の力が少しぬけて楽になるところでしょう。それにこの痛みが本当に心理的なものに由来するのか、未知の疾患による痛みなのか現在のところ不明であるがゆえに、両方を組み入れた折衷案としても「痛みと付き合っていく」ことが穏当な見解だと思われるのです。加えて、痛みが強い時に、心理的なプロセスに目を向けさせようと強要することはたいへんな苦痛に直面化させることになりかねない危険なことであり、傷の上にできた「かさぶた」を引きはがして傷口をむき出しにするようなものです。

 結局、大野先生、藤山先生ともに、このクライエントにたいしては(ざっくりと言ってしまえば)共感が大切かということで一致しているようでした。もっとも一言に「共感」といっても単純なものではなくて、種々のプロセスを経た共感のことでしょうが、そこが謎のところもあります。藤山先生はより深いところのケアも含めた優しめの共感です。報告者のドクターのやっていることは、まずまずよいのではないか、でももっと理解して自覚的に取り組んだらもっと良いでしょうね、というような流れでこの症例検討会が終わりました。

大野裕先生の講演会

 大野裕先生の講演会を聴きました。

 いつものように、穏やかでバランスのとれた紳士的な先生です。

 大野先生はアーロン・ベックが1960年代に考案した認知療法をアメリカで学んだ、日本での認知療法の第一人者です。

 ベックが精神分析家としてスタートして、うつ病の認知療法を開発したのと同様に、大野先生も小此木先生のもとで精神分析の流れにいながら、本格的に認知療法へと移りました。

 認知療法には方法論がいろいろとありますが、大野先生は杓子定規に方法論やマニュアルにそって認知療法を行うことは勧めません。

藤山直樹先生講演会

 藤山直樹先生の講演会を聴きました。

 藤山先生は精神科医であり、上智大学の教授でもありますが、おもなライフワークは精神分析です。神宮前にプライベートオフィスを構えていて精神分析療法を行っています。以前は週に1回ずつくらいのペースのクライエントが多かったように思うのですが、最近は週にできるだけ4回くらいをすすめているようです。日本の精神分析の領域では主要な人物の一人です。理論的には英国の精神分析です。米国の流れをくむ土井先生にスーパーヴィジョンを受けていました。また最近はラカン派との交流もあり、ラカン派の理論家と対談や共同講演をしたりもしています。精神分析には流派がありますが藤山先生は、英、米、仏というふうに流派を超えた拡がりがあります。

 ただし今日の講演は、精神分析そのものというよりも、精神医学についての話です。精神科医として仕事をしているのは週に1日とのことでした。これはたしか大分前からそのペースであったとおもいます。

 これまで先生には何度も話を聴いたことがありますし、10年ほど前に一度プライベートオフィスを見学させていただいたこともあります。たいへん落ち着いた雰囲気のオフィスでした。書斎としても機能するとともに、次々とクライエントが訪れる場所です。

 藤山先生は、精神分析家らしいオーソドックスに落ち着いた人ではなくて、規格にとらわれずに、ちょっとはねたようなところがあり、ざっくばらんに自身の癖などもふくめて、オープンに話されるのもいつも通りです。

 話の内容としては、いつもと似ているといえば似ていますが、今日もいい話でした。精神分析そのものではなく、精神医学的面接についてでありますので、折衷的という印象も無きにしも非ずでしたが、基本の大切さを喚起させていただきました。

 著書多数あり。

ストレスと免疫 竹田和由先生の講演会

 順天堂大学の細胞機能研究室の竹田和由准教授の講演を聴きました。武田先生のご専門は免疫学であり、今日のお話はナチュラル・キラー細胞(NK細胞)からみた免疫の話です。興味深い内容でした。

 ナチュラル・キラー細胞natural killer cellは異物と認識したものを攻撃して殺す細胞です。異物とは細菌、ウィルス、がん細胞その他です。免疫機能の向上や低下を明瞭にあらわしてもいます。

 過剰なストレスが加わるとNK細胞の機能が低下します。適度なストレスや前向きなストレスであればNK細胞の機能は向上します。適度な運動(週2,3回の強すぎない運動)だとNK細胞の機能が上がります。運動不足や強度のつよい運動ではNK細胞の機能が低下します。たとえばフルマラソンでは風邪を引きやすくなります。また乳酸菌(ヤクルトのシロタ菌や明治のR1などの実験にて)でNK細胞の機能が向上します。とくに免疫が下がっているようなときには乳酸菌は免疫力を高め効果的です。近年よく言われるように、やはり腸内細菌を整えることは免疫を高めることになるようです。とても風を引きやすい人がいますが、そういう人は免疫機能が落ちていると思われるので、ヨーグルトなどで腸内細菌を整えることも一法です。またビタミンCなども大切だとおもいます。またストレスが強いときには、風邪も引きやすいので、気をつけましょう。

 武田先生は大変元気そうな人で、ご自身が話していたように、このようなふうだと免疫が高い状態だとのことでした。「今日もいっちょうやったるぞ」というくらいだと免疫力が高いそうです。でも武田先生のようなタイプの方はあまりいないようにも思われます。

 ストレスのかかり方を認識しながら対処していきましょう。

アンガーマネジメント

 

中央災害防止協会で、小林 浩志氏の講演会を聞きました。

テーマは「アンガーマネジメント」つまり怒りの感情のマネジメントです。

 

小林氏のプロフィール:https://www.angermanagement.co.jp/outline/facilitator/96

 

 「アンガーマネジメント」はアメリカ由来のもので、日本に導入されました。そのような経緯があることから、認知療法と同様にアメリカ風の概念先行的なところもあります。

 アンガーマネジメント自体が、そもそも認知行動療法の理論に基づいているとされていて、そのために、似たような傾向も感じられます。アンガーマネジメントは1970年代にはじまったようです。

 企業研修などで活動は盛んなようです。私の日常的な臨床からしても、会社内でのパワハラも含めて、部下のマネジメントの不良は、かなり大きな問題です。こういったことについて会社でどう取り組むのかということは、大きなテーマのひとつです。でも相当な困難を伴うと思われます。

 

ごく常識的なことに関しては以下のようなものもあります。

●発生した怒りをコントロールするには6秒待つ。

●深呼吸。そして深呼吸の時に、あふれているコップの水を出して水位を下げるイメージトレーニング。

●「・・・であるべきだ」という固定観念から発生する怒りの感情のコントロール。

 

 

日本アンガーマネジメント協会

https://www.angermanagement.co.jp/

 

アンガーマネジメントジャパン

 

http://www.amjapan.or.jp/what/index.html

最近

最近のクリニックの前

西園昌久(にしぞの まさひさ)先生の講演会

 精神神経学会にて、西園昌久先生の講演会を聴きました。日本の20世紀から21世紀にかけての精神科医の大家の一人に数えられる先生です。西園先生のお話を聴くのは何度か目ですが、今回は、精神分析やカウンセリングの領域というよりも、とくに精神医学領域についてのお話でした。

 90歳になられてもなおも、素早い動作、柔軟で着実な見識でありました。

 最前列の真ん前で聴かせていただきましたが、西園先生という人となりを間近に見ることもできました。もっとも今日のお話は精神分析やカウンセリングというよりは、すこし決まったパターンのような内容でもありました。

河野慶三先生の講演会

 中央労働災害防止協会にて河野 慶三のお話しをうかがいました。

 日頃は河野慶三産業医事務所というところで業務をなさっています。

 今回のテーマは、就労者のストレスチェック制度についてです。厚労省のストレスチェック制度は最近始まりましたが、河野先生はその制度をつくるメンバーのお一人でした。どのような主旨からストレスチェック制度を作られたのかということも参考になりました。真摯に取り組まれていることがうかがわれました。就労者のために、そして会社のためにどうあるべきか、お考えを交えながらお話されました。

 

今年も

 昨年に続いて今年もアマリリスが咲きました。やはり巨大な花が3つです。

広野ゆいさんの講演会(ADHDについて)

 広野ゆいさんの講演会を聴きました。

 広野さんは、当事者会である「NPO法人発達障害をもつ大人の会(DDAC)」の代表です。

 今回はADHDがテーマです。

 当事者の側からの様々な困難や悩みもふくめていろいろな意見についてのお話で、とても参考になりました。

 

この会のウェッブサイトは以下のとおりです。

「NPO法人発達障害をもつ大人の会(DDAC)」

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レクサプロの適応拡大

 今回、レクサプロというSSRIが社会不安障害に使用できるように正式に保険適応が拡大されました。これまで社会不安障害で保険適応をとっていたSSRIは、パキシル(パロキセチンと同じ)とデプロメール(ルボックス・フルボキサミンと同じ)でしたので、これで3種類目ということになります。海外では、レクサプロはずっとまえから社会不安障害の適応をとっていました。わが国でも、より相性の良いものを選択できるように幅が広がります。

 もっとも、実は、レクサプロは今回の正式の適応症の拡大の認可が下りる前から、社会不安障害に使ってきましたので、実質的には大きな変化はありません。

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抗うつ薬イフェクサーについて

 新しく日本で抗うつ薬が登場しました。

 2015年12月8日にイフェクサーという名称の抗うつ薬が日本で使えるようになりました(認可と薬価収載)。成分名はベンラファキシン。

 アメリカのワイス社が開発をして、その後にファイザー製薬に吸収されたものです。そもそも海外では1993年から使われはじめ、97年に徐放製剤が使われ始めたので、日本にはずいぶん遅い導入となります。日本ではたいてい導入が遅いです。そのかわり海外での使用経験のデータの蓄積が豊富ですので、安心の面もあります。

 種類としてはSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)です。既存のSNRIである、ミルナシプラン(トレドミン)よりデュロキセチン(サインバルタ)のほうがノルアドレナリンの効果は高いのですが、デュロキセチンはセロトニンの作用が少な目でした。このイフェクサーはデュロキセチンよりもセロトニンの作用が高まっています。

 低用量から中等量ではセロトニンの作用によって、不安、抑うつが改善し、ノルアドレナリンの作用はあまり発揮しません。中等量から高用量でセロトニンに加えてノルアドレナリンの作用が高まります。ノルアドレナリンが高まると意欲の改善もされるといわれています。

 セロトニンの作用が高いので、SSRIのような作用も持ち合わせているため、海外では、パニック障害や社会不安障害などの各種不安障害にも適応をとっています。つまりSNRIの「S」も「N」も効果が高いということです。これがこの内服薬の最大の特徴と思われます。

 

 アメリカでは最高225㎎までとなっていますが、EUでは375㎎までです。日本では225mgです。だいたい平均150mgくらいの使用です。

 

 副作用は既存のSSRIやSNRIとはとくに大きな違いはないようです。比較的軽いがよくある副作用としては、吐き気、眠気、口内乾燥、便秘などがありえます。ときに眠りが浅くなる人もいるので、そのような場合には朝に内服します。海外では、朝食後に服用するのが一般的なようです。また内科薬などほかの薬との併用はとくには注意する点は少ないです。

 

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最近

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講演会

 今回は講演会を行う機会を与えていただきました。都立広尾病院の神経科主催の講演会でした。

 今回はお薬についてのお話でした。精神科領域では人間を多面的に見ることも大切です。人間には心理的な領域があり、また社会に生きる社会的存在でもあります。そして生物としての身体的な基盤のうえに諸々の精神活動もあります。今回は、身体的な基盤に関連して、お薬の話です。特にアリピプラゾール(エビリファイ)という内服薬がありますが、安全性と効果の面からバランスのとれたものだと位置づけられています。ドパミンの調整をするもので、種々の安定化作用があります。去2015年5月にエビリファイにLAI(long acting injection)という製剤が登場して、月に1回の投与でよいものです。それの適正使用に向けてのお話をしまた。

 広尾病院の精神科の先生はやはり優秀ですね。今後、末永く交流できればうれしいです。

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運動:メンタル面効果について(うつ状態)

 運動することによってメンタル面によい影響があると言われています。統計的にもそのような結果が出る場合があります。運動にはいくつもの種類がありますので、各人にあったものを選択されるとよいでしょう。また、体を痛めたりけがをしないように気を付けましょう。運動の強度によりますが、回数は週に3回まで、多くても4回までがよいでしょう。週に2回でも効果があります。運動にはいろいろな効果があると考えられますが、ケースバイケースですが一石二鳥というよりも一石三鳥か一石四鳥くらいだと考えてもいいかと考えられます。

 運動すると、特にメンタル面でどのような効果があるのでしょうか。ひとつの推論についてお話ししたいと思います。

 運動のやり方によっては、生きていくためには動かないといけない、といういわゆる生存本能が脳の中で起動されると推察されます。特に数分から20分以内の短時間で強度の強い運動は、この自己保存本能が起動されやすいと思われます。脳と体が、危機的状況に対処しなければならないと認知すると、それを克服するためには、筋肉が発達したり骨が強くなったりするなど体形を変化させます。危機対応のため体の変化はかなり早く進行します(50歳代、60歳代であってもです)。また運動能力を発揮するだけでは危機的状況を乗り切れない可能性があるので、生き抜くために人間が常に用いてきたもの、つまり知力や意思を駆使しようとします。これは体を動かしていないときに、危機の再来に備えて、頭を働かせ、物事に集中して、努力するということです。これが運動がメンタル面に及ぼす影響の代表的な一例です。

 以上はわかりやすい例としてお話ししました。また適宜、運動についてはお話ししたいと思います。

 【注意】急激に負荷の強い運動をしないようにしましょう。また体を痛めることのないように気を付けましょう。負荷の強い運動はわかりやすく説明するための一例として挙げたまでですので、ほかにもいろいろな運動の仕方があります。うつ状態さなかには、治療の補助手段として運動をさいには、担当の医師に相談してからにしましょう。

 


 

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うつ病と雨

 最近、長雨です。

 うつ病を患っている方には、天候が悪いと不調を訴える方が少なからずいらっしゃいます。アメリカの「ハミルトンうつ病評価尺度」にも天候によって気分が左右されるかどうかという1項目があるくらいです。曇天で、しとしと雨が降ったり、やんだり、どうもはっきりしないような、ぐずつくような天候の時に気分がすぐれなくなる方がいます。気圧の変動のせいなのか、それとも、なんとなく暗い雰囲気だからなのか、はっきりしたことはわかりません。雨はうつ病の気分の沈みにマッチするような雰囲気なのかもしれません。

 うつ病の認知療法にはポジティブ発想とネガティブ発想のバランスを改善するという考え方が基本です。気分が沈むときには、ネガティブな面とポジティブの面の両方を考えてみることが大切です。

 雨には風情があります。しとしと降る雨はしみじみとしています。ゴーゴーと雨が降ると、「降ってるなー!」という気持ちになってきます。

  江戸時代の浮世絵には雨が降るシーンが定番のようにしてでてきます。日本人は古くから雨の日に情緒を見出してきたのです。欧米の絵画には雨のシーンは少ないと思います。

 私はうつ病の患者さんに時々お話しすることもあるのですが、人生は晴れ、雨、曇りがあったほうがいい、と。心の中が晴れてばかりいる、ということはあり得ませんし、そんなことがあるとしたら、干上がってしまいます。

 

 蛇足ですが、日本は四季折々の変化が多彩で、雨の多さは、日本が水に大変恵まれていて、山にふった雨は、良質の湧水として数々の名水を生み出しています。雨は日本の豊かな自然と文化にもつながっています。私たちにとって、水は当たり前のようにありますが、世界ではこのように水に恵まれているところはあまりありません。中国の方たちは、日本の水源を買いあさっているとも聞きます。世界基準から考えても、日本の水の豊かさ、水のきれいさは、称賛されるべきものです。


 しかし、ときに自然は災害を引き起こすことがあります。雨の多さ故に、日本は世界の最高水準まで治水が整備されていますが、要注意です。

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最近

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市川宏伸先生の講演会

 市川宏伸先生という小児精神科の専門の先生の講演会を拝聴しました。東京都小児総合医療センターの顧問をされています。注意欠如多動性障害AD/HD, 注意障害ADDです。

 淡々として、整然とお話をされるドクターでした。ご自身の臨床の状況もお話しされ、参考になりました。

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2015年7月

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最近 2015年7月3日

今年2回目咲きました。前回と同じで3つの花がつきました。3つと決まっているのでしょうか。

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最近 2015年5月下旬

最近 2015年5月中旬

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最近 2014年9月頃

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